2012-07-31 Tue
製造部の加倉です。7月分読書感想文
タイトル:傍聞き
読みは「かたえぎき」
短編ミステリー小説となります。
4つのストーリーがありましたが全体的な感想としては読みやすく、且つ読み終えた後もモヤモヤした気持ちが残らずによかった作品でした。
その中でも僕が一番面白いと思ったのがサブタイトルの「傍聞き」です。
メインタイトル、サブタイトルでもある「傍聞き」がよく使われているお話です。
この傍聞きというのは、例えば僕がAという人間に対して話をしているとAは「本当なのか?」という疑問を抱くとします。
しかし、あえてAに言わず、Aの傍でBにその話をしたらAはどう思うでしょうか。
あそこのラーメンおいしかったよ。とか直接言われたら本当かよって思うのに対して傍で聞いている状況だと行ってみようかなと思うでしょう。
主役の羽角啓子は警察官であり、ある日近所に住む高齢者である羽角フサノの家に居空きが入ったという。
同じ羽角ではありますが親戚でもなく、たまたま同じ苗字だっただけで、昔からの長い付き合いがありました。
別件で殺人事件がおきました。この事件が発生することにより、窃盗事件は後回しにされ啓子も人員補充という形で強行犯係へ異動し、窃盗事件に関する調べが手薄になりフサノは不安になりました。
それを察した小学6年生の羽角啓子の娘、菜月は母から教わった「傍聞き」を使い、フサノを慰めていました。
ただ、この慰め方が普通ではないのです。
菜月は亡き父から嫌なことがあったら紙に書けばいいと教えられていました。
菜月はその言葉を真に受けすぎて嫌なことがあれば突然数日間だんまりになり、返事は紙に書く、嫌な理由は自分の家宛てにハガキを書いて母に読ませる・・・というとんでもないひねくれ者でした。
その上番地の7と9の見分けがつかなくて近所のフサノの家に間違えてハガキが届くということもたびたびありました。
忙しくなった啓子がある日、帰宅すると1通のハガキが届いていました。
何時まで泥棒おっかけるの?
次のハガキが届いたのは間違えて送られたフサノからでした。
その次もまた、その次も同じくフサノからハガキを受け取る始末でした。
そんなに空き巣が好きなのか、コソ泥と娘どっちが大切なのか・・・・
啓子からしてみると「泥棒じゃない、殺人犯という危険な人物だ」と思うでしょうがフサノから見るとどうでしょう。
啓子の帰りが遅い=窃盗犯の捜査に忙しいように見えますよね。
つまり菜月は密かに昔からお世話になっているフサノに対して少しでも安心させたいと思い、母は捜査で頑張っているから安心してね という風に暗に慰めていたのです。
正に傍聞き、なるほどなぁと感心しました。
窃盗犯が捕まるまでにも傍聞きを使った過程があります。
他の話も面白いのでぜひご一読してみてはいかがでしょうか。
以上で終わりにします。
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